額装
〜作業の流れ〜
扁額下張りの構造
下張り構造の断面図
組子下地の仕組み(返り):框の側面を斜めに削り下張りする和紙の厚みを表に影響させないための仕組み。
全ての下張りを終えた時、平らになるよう下張りの層に応じて框の削る角度を調整する。
工程 ② 〜 ⑤までの構造 ↓↓
① 組子下地:額装の本体である 格を構成する縦横の格子組み。
杉や桧などの木材を木取りし、交互に凹状のホゾを入れて組み合わせたもの。
仕様材例:杉組子下地
② 骨縛り: 組子下地が歪まないように和紙で固定する作業。
西ノ内紙や楮紙・反古紙の強度の強い和紙を水刷毛等で満遍なく湿し、濃い糊を使って格子の正面のみに糊を塗布して張っていく。
仕様材例:純楮紙
③ 胴張り:光が 透けるのを防ぐためと厚みを出すために、 骨縛りの次に行う工程。
仕様材例:花色鳥の子紙 半枚漉き
④ 蓑張り: 胴張り後の作業で反故紙や薄美濃紙など蓑傘状に張ること。
和紙を重ねて張ることによって破れや凹みを回避するだけでなく、
下部が浮いた状態になって空気が通るため湿度が調節され弾力のある仕上がりとなる。
防音効果も兼ね備えている。
仕様材例:反古紙
⑤ 蓑縛り:蓑張りの次に行う作業で厚手の楮紙や反古紙などしっかりした和紙の全面に薄めた糊を塗布し、
蓑張りの上 から下 へ張って組子下地を強化します。
仕様材例:反古紙
⑥ 袋張り(一層目):襖や屏風・額装の下地への下張り工程で、上張りの張力によるねじれや反りを防ぐ為に石州紙や 美濃紙など薄手の和紙の四方だけに糊を付けて張ること。
上張りを安定させて湿度変化による伸縮を防ぐ効果がある。
仕様材例:機械漉き 石州紙
⑦ 袋張り(二層目):一層目同様に石州紙や 美濃紙など薄手の和紙の四方だけに糊を付けて張ること。
次の上張りの表面に和紙の段差が出ないよう和紙の表面にくる二方を喰裂き(和紙の繊維を出すこと)にし、張る。
上張りを安定させて湿度変化による伸縮を防ぐ効果がある。
仕様材例:手漉き石州紙
⑦ 上張り:襖や屏風・額装など最も外側の表面に張る工程。
鳥の子や織物・金箔加工紙など多種多様な紙のほか絹などが用いられ、それぞれの特質をわきまえた作業上の注意が求められる。
仕様材例:本絹シケ
仕様材例:洋金梨地振り加工紙
仕様材例:女桑縁
*光の反射を防ぐためアクリルガラスを外して撮影しています。