掛軸

 〜作業の流れ〜


只今、ページの製作中です。しばらくお待ちください。



掛軸を保護する裏打ちの構造図


① 本紙:表具に仕立てる本体となる書画を指す呼び名。素材が絹であっても本紙と呼ぶ。

施工例使用素材:二井榮逸 画伯 (能画家)『松風』絹本着色

剥落止め:工程上、水分を多く使うため絵の具が剥落しない様、膠水で着色部分の絵の具を定着させる。
膠:動物の皮、腱(けん)、骨、結合組織などを水で煮沸し、溶液を濃縮・冷却・凝固してつくった低品質のゼラチン。淡黄褐色ないし暗褐色の固形物。
水に浸すと吸水膨潤し、加温するとゾルに、冷却するとゲルになる。接着剤に用いられるほか、古くから日本画絵の具の定着材などに広く用いられる。
工程上、水分をたくさん使う為、絵の具の定着力を上げることで絵の具の流れや散りを防ぐ為の大切な作業。

②-1 裂地の取り合わせ:本紙に調和する裂地を重ねて使う裂地を選ぶ。本紙を引き立たせることのできる取り合わせが良いとされる。

②-2 裂地の裁断:選んだ裂地を必要な寸法に裁断する作業。
裂地の耳を切り水引きの準備をする。

②-3 水引き:

④-1 肌裏紙(薄美濃紙)の準備

岐阜県美濃市なので漉かれる楮紙。

大小や厚さの種類も豊富で、用途に応じて使い分けられる。薄手のものは薄美濃紙と呼ばれ掛軸の制作工程で最初の裏打ち使うなど使用頻度が高い和紙である。



肌裏打ち作業:掛軸の制作工程で、裂地を取り合わせて裁断した後、本紙や裂地を補強し変形を防ぐために一層目に行う裏打ち作業。


美栖紙:奈良県吉野産の極めて薄く柔らかい楮紙。

紙料に胡粉を混ぜて簀のまま干し板ーに伏せて作られる。掛軸の増裏打ち・総中裏打ちに用いる厚さに種類があり、使い分けて厚みや堅さの調整をする。伝統的な表具技術の中枢を担ってきた重要な要素ともいえる材料である。

増裏打ち作業:掛軸の制作工程で、肌裏打ちの次行う二層目の裏打ち。本紙や裂地の補強と厚さ調整のために行う裏打ち。美栖紙を肌裏打ちより薄い糊で接着させ、糊が乾かないうちに打刷毛を用いて圧着させる。強度と柔軟性の両立に留意することが大切で、場所によっては厚みの異なる美栖紙を使い分けて厚さを調整することも必要である。




文化美栖紙:美須紙同様、奈良県吉野産の楮紙。

小判や二三判の美須紙と違い、長判で漉いた和紙。

美須紙と同様に楮の紙料に胡粉を混ぜる。

総中裏打ち作業:掛軸の制作で、本紙や表具全体が比較的大きくなった場合に、付け廻しの後で再度、全体に行う三層目の裏打ち。折れやすさを防ぎ、全体の強度を調節するための工程で、美栖紙で裏打ちし打刷毛を施す。増裏打ちで合わせきれなかった堅さを調節するための作業。




宇陀紙:白土を混入した楮紙で色が白く表面がなめらかで紙質が引き締まっている。

白土を混入することにより掛軸の透け止めの効果が厚手で柔らかく、掛軸全体の保護に適している。

総裏打ち作業:掛軸制作で行う四層目の裏打ちで裏面の仕上げとなる最後の裏打ちを言う。

総裏打ちでは接着力の弱い薄めた糊を用いるため打刷毛で平均かつ十分に打って全体を満遍なく圧着させる技術が求められる工程。

軸助: