季寄せ『さつき』
あたらしいものであっても「ほんもの」を感じさせる空間があります。また、伝統に根ざしたものはかえってモダンにも見えるものです。時の流れに洗われ、人々の目にさらされ、生き残ってきた風格のなせる技なのでしょう。
和紙の肌合い、土壁の色合い、木肌のつや、これらが複雑に組合わさって、やさしく空間をはぐくんでくれるとき、人は心に落ち着きを感じ、光のたゆたいに時の経つのを忘れるかもしれません。そこに住む人の、また訪れる人の、思いのひだをおだやかに染めつけてまいります。
さつき:陰暦の五月、昔はちょうど田植えの真っ最中にあたっていたため、「早苗月」と言われ、それが略されて「さつき」と呼ばれたそうです。
つつじの後をうけて咲く姿は確かに風薫る五月を代表するにふさわしい華です。
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